2010年3月2日に開催された第2回「相生山緑地の道路建設に係る学術検証委員会」にて、11名の市民から意見が陳述されました。
このページでは、「ラブリーアースJapan」の古川氏の意見陳述を抜粋して紹介いたします。
ラブリーアースJapan 古川氏の意見陳述
7番の古川といいます。南区から来ました。
ラブリーアースJapanという市民団体に所属しています。
3分間で発言できるかわからなかったので、資料を一応書きました。
表に意見と裏に図を載せました。
図をちょっと大きくするために、ここへ持ってきました。
先ほどから委員会の先生方のお話を聞かせていただいて、すごくいい方向性を出 していただけるのではないかと思って、この委員会に大変期待しています。
話したいことが2つあります。
1つは、この図をもとにして、すでにもうつかんでいらっしゃる先生方もみえると思うのですが、相生山の渋滞とその先の渋滞。
このことをやっぱりちゃんとつかまないと、ここに道一本造っただけで、問題解決することにならないというのが一つ。
2つ目は、ごく最近の地域の相生山の周辺の話をお伝えして、民意の動向についてお伝えしたいと思います。
朝の渋滞に限って言えば、昭和高校とか桜本町とか新郊通とかところどころで渋 滞が起こっている訳です。
それから、もう少し別の例でいきますと、来年地下鉄が開通します。
野並のここのところのバス停、バスの今の団子渋滞が解消します。
そうすると、ほぼいいじゃないかと思うのですが、多分違うのです。
ここへ車がどんどんどんどん入ってきちゃう。
そうするとどういう問題が起こるかというと、その先に渋滞が起こる。
同じように相生山緑地のここに道ができると、渋滞が解消するかというと、そう ではなくて、ここへ今はよそを通っている車が流れ込んでくる訳ですから、ここのところへますます渋滞が出来る。
渋滞を自分の家の前だけで見ているのであれば、いいのかもしれませんが、道というのは先へ行きたい訳ですから、道の先が詰まっていては話にならないので。
救急車の問題もそうです。
私たちもパソコンを使ってシミュレーションをして、それから消防署にも問い合わせて、聞き取り調査もしてきたのですが、結論としては、道路一本造るだけでなくて、先ほどの方も言われましたが、緊急医療対策の問題とか、マナーの問題です。
そういうことを全部総合的にどうやってして、人々へ訴えていくかという市政の問題とか、市民自体の問題とかそういうことを考えないとだめだという風に思っています。
だいぶ端折りました。読んでください。
それからですね、相生山緑地の緑地創作隊の人たちが、放置されていた竹やぶを 切って一緒に、人間と自然が一緒になって緑地を作りたいという事業を始められました。
私たちも相生山の自然を学びたいというか近づきたいという人たちと一緒に観察会を始めました。
印象的な言葉があります。
これ工事が止まってから始まったのですけれど、年配のご婦人の方が、
「道路工事で馴染みの樹が伐られたり、見慣れた場所が変えられて、たくさんの生き物が命を失ったことによって、今まで来たくなくなってた。だけど、工事がとまったので久しぶりに来た。」
という風な発言がありました。
市民の方々が相生山をいかに大事にしていて、そこの自然といっしょに暮らしていきたいなと思っているかということが、工事が止まったことによって流れができているのですね。
ここはすごく大きな流れだと思っております。
学術検証委員会の先生方が、将来の名古屋市に向かって、「健全な生態系の持続」と「生物多様性保全」ということを見据えた長い目でしっかりとした検証の結果を出していただくことを期待しています。
先ほどからのご意見の交換の中で十分期待できるなと素人の私が言うのも変ですけれど思っておりますので、信頼申し上げております。
がんばってください。ありがとうございました。
添付資料
- 公聴会陳述意見
- 2010.3.2.
1. 「弥富一相生山線」と交通渋滞緩和の関係について
野並及び島田交差点での通勤時間帯の渋滞緩和が道路建設の目的の一つにあげられています。
これが達成されるのかどうか、わたしたちの調査に基づいた考察を申し述べたいと思います。
- 資料:「相生山緑地周辺から都心部にいたる交通渋滞明示図」
- 道路交通センサス H17.などを基に作成
朝の通勤時間帯に、冒頭の2交差点を経て都心部へ向かう道路では、その先、桜本町一丁目、 新郊通、昭和高校交差点などでも混雑が見られます。
これは1970年代中頃から発生しており、現時点でもバス専用レーン規制があることによっても明らかです。
このことをしっかり見ておく必要があります。
来年度の地下鉄延長開通により、野並交差点以東のバスレーン規制は解除され、バス停のバス団子停車もなくなると予測されます。
そうなると、野並交差点を都心へ向かう (西進する) 車両数は大幅に増えることが予測され、桜本町一丁目などでの渋滞が一層ひどくなると思われます。
相生山緑地を横断する道路ができると、現在他の経路を利用している車両が流入してくることが予測されます。
そのことによって、都心に近い従来からの渋滞場所では、更に渋滞がひどくな る可能性が高まります。
以上のことから、道路ができても渋滞の位置が都心方面に移動するだけで、根本的解決には至らないばかりか、新たな車両流入の要因になり、新たな渋滞を引き起こすと考えられます。
車両運転者に、通勤形態や時間帯の配慮、「ゆとりを持った Life Style」などを提唱し、粘り強く訴えかけることがより肝要ではないでしょうか。
また、9月26日の市長との対話集会の際に、「救急車のために早く道路を」という意見がありました。
前述の状況に加え、
- (1) 緊急車両に進路を譲る基本的マナー、 そのための教育と学習
- (2) 救急医療体制の充実など
このことについても総合的な対策を講じないかぎり、 道路1本つくれば良し、 とはなりません。
2. ごく最近の民意の動向について
対話集会以降、建設工事が中断するなかで、相生山緑地に人々が注目しています。
自然(生態 系サービス)から癒しを得、他人との交流も楽しもうとする流れが復活してきています。
例えば、
- (1)地域住民主体の「緑地創作隊」による、自然と住民が共存する緑地をめざし、放置された竹薮を整備・整頓する作業に80人/2回
- (2) 新しく始まった、自然観察しながら緑地 を歩く「相生山の四季を歩く会」 の月例会に70人/3回
などです。
このなかで、
「道路工事で、馴染みの樹が伐られ、見慣れた場所が変えられ、たくさんの生き物 のいのちが失われたことを思って、長い間足が向かなかったが、工事が止まったので久し振りに 来てみました。」
という年配のご婦人の話。
また、
「遠くに行けなくても、自然と出会える貴重なところ。一年の変化を迫ってみたい。」
と親子づれの方からの感想などを聞きました。
大都会のなかでわずかに残されたオアシスのような里山から、市民が得るものは計り知れないことがこれらのエピソードからでも推測されます。
地元や栄で集められたアンケートの結果からも、このことは充分に読み取れます。
民意の大多数は、ますます
「今、開発よりは自然を残すことが大切」
と語っています。
学術検証委員会の諸先生方による、「健全な生態系の持続」 と 「生物多様性の保全」を基本にすえた、未来の名古屋市にむかっての戦略的なご判断を期待するものです。
以上
「ラブリーアースJapan」古川氏の意見のポイント
この意見陳述では、新たな道路建設によって、新たな交通が発生して、結局のところ「渋滞の場所が変化するだけで渋滞は解消しない」、ということを示しています。
この現象は、交通工学で「誘発交通(Induced Traffic)」と呼ばれます。
渋滞緩和を目的とした道路整備が、新たな渋滞を招く現象で、学術検証委員会でも専門家から指摘されています。
もう一点は、「都市の緑の価値」に関する指摘です。
「都市の緑の価値」は定量的な計測が難しいため、政策判断において無視されがちですが、その価値は極めて大きなものだと、個人的に考えます。