2010年3月2日に開催された第2回「相生山緑地の道路建設に係る学術検証委員会」にて、11名の市民から意見が陳述されました。
このページでは、エコミュージアムあいち 高岡氏の意見陳述を抜粋して紹介いたします。
エコミュージアムあいち 高岡氏の意見陳述
時間があまりありませんので、話したいことはたくさんあるのですが、はしおって話してゆきますので、後から資料を見ていただきたいと思います。
私は60年間住んできまして、現場をずっと見てきた者としての証言として聞い ていただければと思います。
名古屋市の例の場所なのですが、二つに分けまして、北部分と南部分にはっきり分けられます。
スプロール化が酷い南部分ですね。もう乾燥化しています。
こちらはまだ樹林地もまとまっています。
ここの樹林地の真ん中に道路が出来ますけど、ここに道路が出来ることをまずご理解下さい。
ここ尾根部、ちょっと植生が薄いところと、谷部ちょっと濃くなっていますけど、異なった自然でこざいまして、この異なる自然があることが特徴で貴重であるということです。
具体的にですね、こちらのパネルをみて頂きますと、こちらのこういう貴重であるものの位置を表したものですが、私どもが調査したものと名古屋市が調査した もので、赤が名古屋市で緑が私どものものでございます。
マンリョウに関しては無視していただけると思います、名古屋市の調査ですけど。
この貴重種が固まった所に道路が通るわけですね。
黄色がヒメボタルです。これは緑地全体の生態系で言うとコアになっている。
バッファとコアと言いますけど、そのコアになっていることが、これで良くわかっていただけると思います。
ここのコアの中を道路が通ることになります。
次にこういう概念図ですけど、これがちょうどコアになった部分で、この真ん中 を道路が通ります。
そうすると乾燥化でコアがかなり壊れてしまってゆくことになりますね。
それからヒメボタルに関しましては、こういうメタ個体群のモデル図を作りましたけど、この辺、道路建設地と周辺が一番安定して良く出るところでこざいます。
こういったコアのところに道路が通りますと、メタ個体群が二つに分かれまして、小さなメタ個体群になりますから、絶滅リスクが高くなります。
ま、そういうことになります。
これは現場を見てもらうと良くわかります。
こちらの方が幼虫調査の結果でございますけれども、幼虫調査はコアの真ん中の谷の部分、道路が通る周辺の調査でございますけど、この谷の谷底と頂上部には出ません。
ここ頂上部にはヒメボタルはいますけど、ここには幼虫が住んでいません。
まったく、成虫と幼虫の範囲は違います。
この斜面が非常に重要だということでございます。
こちらのほうですけど、最近消えたヒメボタルのパッチでございますけども。
緑地の南側の一番安定したところがなくなりました。
パッチはできたりなくなったりしますけど、原因は定かでありませんけども、環境変化としてはマンションが出来て明るくなったということと、こちらは病院の建物があって、暗かったんですけど、それが無くなって明るくなって、風通しが良くなったことです。
まずそういったことが環境の変化でございます。
私どもはこういう風に計画を作ってやっていますけど、ここが生態系のコアのところです。
ここに道路が出来るということでこのコアが多分崩れていってしまうと思います。
南側は民有地がたくさんありまして、家もたくさんありますから、生態系豊かな民家と自然が共生できるようにするということで、緑地創作隊が頑張っているところです。
最後に、ヒメボタルの出るところは全部そうなんですけど、斜面なんですけど、ちょうどこれは東のほうから標高が45メートルぐらいから西のほうへ30メートルぐらい前後ですが、
この辺の地層の特徴である、上部の八事層と下の猪高層がありますけど、そこに帯水層があるような感じなんですけど、
ちょうどその八事層の下か、猪高層の上の所辺りに幼虫がたくさん住んでいると、
それが成虫はいろいろばらけていくわけなんですけど、そういうことが長年の観測で想像されるようになったと思っております。
以上です。
添付資料
道路によるエッジ効果と分断が生態系に与える影響
1. 空中写真(樹林地が残る北部分とスプロール状の南部分)
相生山の自然はオアシスの森及び道路建設地とその南側からなる北部分と、大正から昭和初期に分譲開発された南部分に分けることができる。
北部分はまとまった樹林地が多く、特に道路建設地周辺は観察される植物や野鳥の種類などから、相生山ではもっとも自然が豊かに保たれている場所と言える。
また道路建設予定地の北側尾根は痩せ土と乾燥に強い植生がみられ、道路建設の谷部と対照的な自然が存在している。
この異なる自然があることがこの地区の特徴的な自然形態であり貴重である。
2. 貴重種など位置図 (道路予定地とその周辺が相生山緑地の生態系のコア)
建設地谷部には、貴重な植物がみられる。
またオオタカの寝室・ダイニングととなっている。
キビタキやオオルリなど、都会ではみられない渡り鳥が囀ることもあり、都会に位置したビオトープネットワークとしての役割を担っている。
また、ここのヒメボタルは相生山のなかで最も安定して観察され、多くの人がそ れを鑑賞する。
このように、道路建設地の谷とその周辺は相生山緑地の生態系のコアと言える。
3. メタ個体群・エッジ効果 (道路は豊かな生態系のコアは劣化させ、ヒメボタルへも影響を与える)
周囲が市街地である緑地の周辺は乾燥化や温度変化が激しく自然度が低い。
道路予定地周辺は北部分の中央部に位置し、エッジ効果がもっとも少ないと考えられ、注目種等の位置図からも分かるよう相生山緑地ではもっとも豊かな場所(生態系のコア)になっている。
しかし道路ができればエッジ効果でまず谷部を特徴付ける種に影響を与える可能性が高く、コアとしての豊かさが損なわれる。
メタ個体群として生息するヒメボタルは、道路が建設されれば、エッジ効果や夜間も樹冠が消失して今より明るくなることから、ヒメボ タルの生息域としての環境が悪化し、相生山では安定したパッチが多いこの谷の斜面に生息できなくなる恐れがある。
メタ個体群はヒメボタルの雌が飛べないこともあり、道路で小さなメタ個体群に分割される可能性が高い。
道路によりそれぞれの個体群は大幅にパッチ数が減少することからも絶滅リスクが高くなる。
4. 幼虫調査結果 (ヒメボタル幼虫は谷低と頂上部にはいなく斜面にいた)
成虫の雄は飛ぶことができ、幼虫の生息範囲より広い範囲で観察されると考えられる。
幼虫調査の結果では成虫が観察されているヒノキ林や梅林では見られず、丘陵の斜面で多く捕獲された。
ヒメボタルの観察がされる他の場所でも同様に斜面に生息している可能性が考えられる。
相生山の生態系の豊かさを保つには 地形・地質を十分に考慮しなければならない。
道路はこの生息する斜面をかなり消失させる。
5. 個体数が激減したパッチ (少しの環境変化でも生き物は影響を受ける)
南部分の最大で安定していたパッチの個体群がここ数年個体数が激減している。 環境の変化はマンションが建設され、照明で明るくなった。
病院の建物が取り壊され、明るくなり風通しも良くなったことである。
6. エコミュージアム構想 (民家と多様な生き物が共生する緑地を目指す活動は始まっている)
多額の税金を投入しながらまだ取得が完了していないということで、長い間未整備緑地になっている。
何年かかるか分からない土地の買収完了後に事業化することは税金の無駄である。
緑地を可能なところから事業化して市民に開放し、生物の多様性と民家かが共生し、市民が生態系サービスを享受できる仕組みが「エコミュージアム相生山緑地」 構想である。
民家を残したまま豊かな緑地にしようと活動はすでに始まっている(相生山緑地創作隊: COP10パートナーシップ事業)。
道路建設はこの生物の多様性と民家の共生(里山)提案、「エコミュージアム相生山緑地」構想に対しての脅威である。
高岡氏の意見のポイント
道路建設予定地の部分が、いかに相生山緑地にとってコアな部分であるかを強調しています。
2025年11月に示された「折衷案」でも、
エッジ効果や夜間も樹冠が消失して今より明るくなることから、ヒメボタルの生息域としての環境が悪化
する、という懸念が指摘されます。
相生山緑地のコアな部分は、ヒメボタルだけでなく、他の生態にとっても貴重な場所です。
エコミュージアム構想
緑地を可能なところから事業化して市民に開放し、生物の多様性と民家かが共生し、市民が生態系サービスを享受できる仕組み
を進める、というのも、きわめて現実的な提案といえます。
まずは名古屋市民に、相生山緑地の魅力と価値を知ってもらうことが大切です。