人口減少社会の中で

日本は未曾有の少子高齢化を迎えています。

名古屋市の資料によれば、相生山緑地周辺の交通量も、将来的に減少傾向にあると予想されています。

相生山周辺の交通量予測

現況(第5回中京都市圏パーソントリップ調査) 2035年予測(令和17年、整備なしの場合)
相生山周辺の主要幹線道路(合計) 71,600台/日 70,100台/日

※現況は「東海橋線」「阿野名古屋線」「名古屋中環状線」の断面交通量の合計、2035年予測は同じく合計値(弥富相生山線を整備しなかった場合)です。

新設道路の利用者数も、将来的に減少

「弥富相生山線」という新設道路そのものの利用者数も、将来的には減少すると予想されています。

令和7年予測(整備あり) 令和17年予測(2035年、整備あり)
弥富相生山線 7,700台/日 7,300台/日

このように、長期的に見れば、この道路の必要性は、どんどん希薄化していくと考えられます。

それに伴い、市民の財政負担という新たな問題が生じます。


公共事業としての資格も、あわせて問われる

財政負担は減らない

人口が減り、道路を使う人自体が減っていく一方で、道路の建設・維持管理にかかる総コストが変わるわけではありません。

そうなると、市民一人あたりの財政負担は、むしろ増えていくことになります。

名古屋市の財政は厳しい

名古屋市の財政は、2026年のアジア・アジアパラ競技大会の関連経費が膨らんだことで、厳しい状況になっています。

将来の財政も、大型事業の費用や社会保障費の増加により、厳しい状況になると見込まれています。

人口も自家用車の利用者数も減り続けていく社会の中で、この規模の新規道路計画に、本当に合理性があるといえるのでしょうか?

問題はそれだけではありません。


名古屋はCO2を減らす必要がある

さらに言えば、道路交通の量が減っていくことは、実は、名古屋市が抱えるもう一つの課題とも深く関係しています。

名古屋市は、自らの地球温暖化対策実行計画の中で、「運輸部門からの1人あたりCO2排出量が政令指定都市平均を上回っている」ことを、本市特有の事情として明記しています。

その背景として、市自身が「自動車利用に依存」した都市構造であることを課題として挙げています。

大きなCO2削減効果

そして、名古屋市の公式サイトには、次のような、非常に印象的な試算が掲載されています。

名古屋市のドライバーが、週1回クルマの利用を控えると、名古屋市と同じ面積の植林をするのと同じCO2削減効果があると試算されています。

これは筆者の推測ではなく、名古屋市住宅都市局都市計画部交通企画課が、公式サイトで自ら公表している試算です。

つまり名古屋市自身が、「クルマの利用を減らすことの効果は、それほど大きい」と、公式に認めているということになります。


時代に逆行

このような課題を抱える都市が、緑地を分断してまで新たな道路を作り、自動車利用をさらに誘発しかねない計画を進めることは、時代の要請と明らかに逆行しています。

名古屋市の財政も、いっそう厳しい状況になると見込まれています。

将来の交通量が減っていくことが分かっているのであれば、なおさら、新規の道路建設ではなく、公共交通の利用促進や、クルマに頼らない移動手段の充実にこそ、限られた財源を振り向けるべきです。


まとめ

  • 相生山緑地周辺の主要幹線道路の交通量は、2035年にかけて減少すると、市の資料自体が予測しています(71,600台/日→70,100台/日)。
  • 弥富相生山線そのものの利用者数も、令和7年から令和17年にかけて減少が見込まれています(7,700台/日→7,300台/日)。
  • 人口減少・自動車利用者減少が進む中で、道路建設を続けることは、市民一人あたりの財政負担を増大させる方向に働きます。
  • 名古屋市は、運輸部門のCO2排出量の多さを自ら課題として認めており、「週1回のクルマ利用控え=市域全体の植林と同等の効果」という試算も、市自身が公表しています。
  • 将来の交通需要が減少し、かつCO2削減が急務とされる中で、緑地を分断する新規道路建設という選択は、時代の要請とは逆の方向を向いています。