名古屋市が推進する環境政策の全体像について、こちらの記事でまとめました。
では、環境政策の目標は、実際にどれほど達成されているのでしょうか?
結論としては、量的な目標は厳しい状況にあるというのが実情です。
例えば「みどりの基本計画2020」における目標達成の度合いは、
- ✖ 緑被率などの「量的な目標」は未達成
- ⚪️ 市民活動などの「質的な目標」は達成
となっています。
「量」に関する目標(厳しい現状)
都市開発や農地の宅地転用などの影響を強く受ける「面積」や「量」の目標は、残念ながら未達成となっています。
- 全域の緑被率(目標:27.0% ⇒ 結果:21.5%)
- 判定:未達成
緑被率は10年間で23.3%から21.5%へと、1.8ポイント(面積にして約573ha、ナゴヤドーム約120個分)も減少してしまい、目標には届きませんでした。
「市民参加」や「活動・ソフト面」に関する目標
一方で、市民の意識向上や、実際に緑化活動に参加する人の数といった「ソフト面」の目標は、目標を大きく上回って達成しています。
- 緑のまちづくり活動への市民参加者数(目標:25万人 ⇒ 結果:30万人)
- 延べ人数で30万人を超える市民が、地域の緑化や保全活動に参加しました。
- 市民の満足度(向上傾向)
- 身近な場所における「みどりの量」や「みどりの質」に対して、満足だと答える市民の割合は前回調査よりも高くなっています。
環境政策の方針転換
名古屋市は、この「量的な目標の未達成」を受けて、2030年に向けた新しい計画(みどりの基本計画2030)において、方針転換を行いました。
量的な目標の達成は難しいため、これからの戦略は、今ある公園や街路樹、民有地の緑(グリーンインフラ)の機能を高める方向へシフトする、というものです。
たとえば、公園を「防災拠点」や「雨水をためるインフラ(雨庭)」として多機能化させることで、同じ面積でも都市としての価値を何倍にも高めるアプローチにシフトしています。
世界のスタンダードからは遅れを取っている
それでは、名古屋市の環境政策の進捗具合は、海外と比べると、どうでしょうか?
名古屋市はCOP10の開催地として先進的な計画を掲げています。
しかしながら、ヨーロッパやアジアなど世界の環境先進都市の比較すると、「遅れ」や「構造的な限界」が目立つのが現状です。
環境政策の限界が露呈
世界の環境先進都市は、「環境を守ることは、都市の経済価値を高める最高の戦略である」というグランドビジョンのもと、強力なルール変更を行っています。
しかし名古屋市では、市民の善意や行政のガイドライン頼みであるのが実情です。
ここに名古屋市の環境政策の限界が露呈している、といえます。
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まとめ
名古屋市には、優れた環境政策が揃っているにもかかわらず、緑の量の減少が進んでいます。
2030年に向けては、この減ってしまった「量」のビハインドを、自然環境の力を賢く使う「グリーンインフラ」や「生物多様性のDX化(いきものクエストなど)」といった「質・機能の向上」でどうカバーしていくかが、名古屋市の環境政策の方向性となっています。
ルールの厳格化が鍵
「弥富相生山線」問題では、現在の環境政策の不足が露呈しています。
名古屋市が2030年、2050年に向けて真の環境先進都市になるためには、単なる市民の善意や行政のガイドラインに頼るステージから脱却し、都市計画法や条例レベルでの「ルールの厳格化」や「法的な強制力の強化」へと踏み込めるかが鍵となってます。
名古屋市の本気度が試されています。